まってくれ!

まってくれ。土地宝典を見ていて気づいた、重要な見落とし。昨日の内容を修正してもよかったんだけど、こっちで新たに書いておくことにした。まずは昭和10(1935)年の西区(旧制)土地宝典をご覧いただきたい。

 

(このブログは昨日の「ナナメの朝明け~名古屋土地の西の端~」の続きみたいな感じです)

名古屋市鶴舞中央図書館・蔵
名古屋市鶴舞中央図書館・蔵

まず、図の右側にあるのが中村遊郭である。そして左側を南北に流れている黒いやつが中井筋。その東側に少し違う角度で一直線に続いているのが例の「斜めのライン」である。この土地宝典に描かれている段階では、名古屋土地株式会社の敷地内は区画が整理されておらず、西側の中村土地区画整理組合では事業が完了しているようである。しかし中村遊郭が出来ているということは遊里ヶ池が誕生しているはずで、それが描かれていないのは単純に謎である。どうせすぐ区画整理されるからむかしのまんま描いとけばいいでしょということなのかな。土地宝典の目的を考えれば、ぜんぶ名古屋土地の所有だったわけで、別に問題はなかったのかもしれない。

 

遊里ヶ池の話は本題とは違うので置いておいて、斜めのラインの東側に第2の斜めのラインが存在していることが分かるだろう。こちらのラインは緩やかに曲がりくねっている。これはなにかというと、鎌倉街道の名残である。鎌倉街道、つまり鎌倉時代に鎌倉と京とを結んでいた道、小栗街道とも呼ばれており、この辺りにおいては古代東海道ともその道筋が一致している。露橋から東宿へぬけ、庄内川を越えて萱津へ至るというルートだ。街道として使われなくなったあとも昭和の時代に至るまでこうして名残が残っていたということだ。そしてこの図の中では鎌倉街道と、そこから北の方向に分岐する道が描かれている。分岐した道は日比津村へ至るもので、ちょうどその分岐地点あたりに一里塚があったようだ。当地には字一里山という文字が土地宝典からも読み取れるし、現在その地名は失われているものの、近くにそれに由来すると思われる里山公園という公園がある。

 

日比津方面へ分岐した道を北へ辿っていくと、例の「斜めのライン」と途中でぶつかることがわかる。昨日のブログで、「社有地の境目が本陣通の前後でこんな風に緩やかなカーブを描いていたとは、全く知らなかった」とぬかしていたが、確かに社有地の境目はカーブを描いているわけであるが、それはこの道に由来するものだったのだ。ということは、中村町のあの未舗装路地もこの道の痕跡ということになる。うーん、なんというか、延長線上ということには間違いなかったのだけど、途中で二手に分かれていってしまう。だから「斜めのラインの由来となったであろう水路なのか道なのか、は分からないが、そのものの名残が未舗装路地とそれに続く細い道路として残ったのではないかと考えられる。もし太閤通南側の水路が斜めのラインに沿って中村町の未舗装路地のところまで繋がっていたならば、この路地は区画整理前の水路の大変貴重な痕跡であるということになる」このへんの記述に関してはちょっと違うなーといった感じである。

名古屋土地の社有地の西の境界線は名古屋花壇の裏から一直線に北北西の方角に続いていって、鎌倉街道跡から分岐した日比津村への道へ途中でぶつかり、以北はその道が境界線になっていた。では名古屋花壇の裏から日比津村への道へぶつかるまでの一直線の斜めのラインはどう誕生したのだろうか。僕はこれまでその由来となったなにかがそこに元々あったのだと思ってきたけど、なにもないところに機械的にずばっと線を引いたということもあり得るのだろうか。しかし鉄道路線のようにそこだけである必要性がないのに、わざわざ境界線が直線であることを求めるだろうか。わざわざそんなことせずに、やはり元からある敷地の境目を活用すると思うんだけどな。あと、太閤通の南側までは存在が確認されている水路についても、機械的にこの線が引かれたというなら説明がつかないのではないか。しかし土地宝典では水路についてはよく分からないというのが正直なところだ。

 

とりあえず全部まとめてみた。文章よりも圧倒的に理解がたやすいだろうと思う。この文章を読んでくれた方にとっても、後にこれを見返す自分にとっても、である。

 

 

ということで、徳左川に流れ込んでいた名古屋花壇裏の水路と、中村町の未舗装路地は単純に一筋に繋がっているわけではなかったということである。そして未舗装路地については鎌倉街道跡から日比津村へ行く道の痕跡だった、これは断言できる。

 

暗渠マップを描いている身としては水路の上流がどこへ繋がるのかということがとにかく知りたい。用水路なのであれば中井筋からの分水であろうか。またなにか発見があったらここに書こうと思っている。

 

 

Nextブログ→中村土.区.整.組.関.図.からナナメ